増大する情報拡張ニーズにこたえて
XPANDコードの機能は、QRコードなどと同様で、スキャンしてスマートフォンに情報を表示させるための起点になるものです。
しかし、XPANDコードは案内サイン・標識・看板といった掲示物の拡張のみを目的に開発されました。この点が他のコードと異なります。
それは鉄道向けサインから始まった
2010年前後から、鉄道駅での多言語表示が本格化しはじめました。
東京メトロの行先案内を始め、鉄道サインの表示デザインを数多く手がけてきた銀座交通デザイン社でも、この課題の解決に取り組んでいました。
多言語化表示のトレンドは、日英2言語から中韓を含めた4言語、さらには台湾向けの繁体字中国語に日本語のふりがなを含めた6言語にまで、エスカレートしようとしていました。
対応言語の拡充に注力するあまり、表示そのものの視認性がきわめて悪化しつつある状況を何とかしなければならない
この思いから、サイン自体は簡素にし、多言語表示やユニバーサルデザイン対応を補完する方向が定まりました。
私たちは、2000年代前半にガラケーの公式コンテンツを構築・提供した経験があり、スマートフォンの普及も始まっていたことから、これをツールとして活用。サインに取り付けたコードを読み取って、拡張情報を提供する研究が始まりました。
サインと共存しにくいQRコード
コードでもっとも有力なのは、当時既に普及していたQRコードでした。
しかし、横幅も視認距離もメートル単位になるサインに、正方形のQRコードを読み取り可能なサイズで組み込むと、あまりにも大きな面積を占め、サインは台無しになってしまいました。本来サインに記載すべき情報のエリアも狭くなってしまいます。公共空間の構成要素であるサインには、もっとスマートな処理が必要です。
そこで、私たちはあえて「車輪の再発明」をすることにしました。コード以外の方法も含め、試行錯誤を繰り返した結果たどり着いたのが、スリット状のコード、XPANDコードです。